『 ストレンジャー・ザン・パラダイス 』監督:ジム・ジャームッシュ
公開:1984年
製作国:アメリカ[あらすじ]ハンガリー出身でニューヨークに住むウィリーの元に
クリーブランドに住む叔母(セシリア・スターク)から電話があり、
叔母が入院する10日間、従兄弟のエヴァを預かることになる。
当初は馴染まないウィリーとブダペストからやって来たエヴァであるが、
日が経つにつれ打ち解けていき…
「The New World」「One Year Later」「Paradise」の3部構成で
全編を通してモノクロで撮影された不条理・デッドパン(無表情)喜劇である。
(Wikiより抜粋)
[全体感想]全編を通してかなり粗い、ハイコントラストのモノクローム。
とりとめもなく流れていくストーリー。
1ショットをぶった切る真っ黒な空間。
あ〜好きだなぁ。やっぱり好きだジム・ジャームッシュ。
何が起きるって訳でもないけどなんだろう、この心地よさ。
とにかく人間どもが皆かわいいんです。
かわいくて前半はずっとにやにやしちゃいます。
なんというか初めて会った親戚のお姉さんにちょっぴり恋心を抱いてしまって
せっかくの夏休みだしお小遣いも奮発してもらっちゃったから
ちょっと遠出して彼女のうちに遊びにいっちゃう?
みたいな
ちょっとヤンチャな小学生男子を見てるような
かわいくて切なくて気恥ずかしい気分にしてくれます。
ストーリー云々よりも、
人と人との間に流れる微妙な時間とか、
間合いとか空気、それぞれの関係性とか、
そんなのが楽しい映画でした。
[みどころ]
〈独特の世界観〜白黒〜〉ジム・ジャームッシュ監督作品を見ていつも感じる、
あの独特の空気感、
ブラックコーヒーにビスケットを浸して新聞を読んでいる深夜2時、みたいな
ビターで朴訥とした世界が。
いいんです。
〈ジョン・ルーリー〉ジョン・ルーリー、『ダウン・バイ・ロー』でもいい味出していましたが
こちらの映画でもものすごい魅力を発していました。
自堕落で尖った「ニューヨーカー」を気取りながら
ハンガリー出身であることを隠し生活している、
なんとも言えない孤独な陰影が
滑稽で切ない印象を漂わせているんでしょう。
いつもちょっと拗ねてる顔が良い。
ジャームッシュの映画には音楽家出演率が高いですが、
ジョン・ルーリー、そして相棒のエディ役(リチャード・エドソン)もまた
ミュージシャンだそうです。
『ダウン・バイ・ロー』のトム・ウェイツもそうですが、
音楽やっている人って俳優とはまた違うセクシーさを持ってると思うんです。
一つ一つの仕草や声の出し方、ただ立っているシルエット、
それだけでも心がざわつきます。
〈間合い〉説明すると野暮ですが…
別に何が起きるって訳ではないんです。
ただ二人が会話していて、あれ?あのジョーク思い出せない、
ええっと確かこうなってこうなって…
うん、ごめん忘れた。あはは…
・・・
・・・
・・・
・・・
↑この沈黙を。
あれ、このあと何か起こるの?
っていうくらい長く。
その間合いがなんともいえずおかしくて愛しい。
見終わった後は「なんかいいもの見たなあ・・」
という気持ちにしてくれます。
基本的に登場人物は好き勝手に突き進むスタンスなので
不条理ゆえの歯痒さはさほど感じません。
深夜に見ることをおすすめしますよ!
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